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原作は、1977年女流作家の宮尾登美子によって発表された同名の小説です。高知の土佐で生まれた宮尾登美子は高知の遊郭で芸妓紹介業(女衒)を営む岸田猛吾と愛人の子として生まれました。
それ故に当時遊郭に売られてくる女性たちの、儚く悲しい人生を目の当たりにしてきたのです。彼女の書き上げる作品はこの遊郭で働くの女性たちの生き方や、取り巻く男たちの野望や性を赤裸々に描き、多くの人々が日常では知り得ない、色町の現実を知らしめることになりました。徹底した取材に裏付けられた繊細な描写で、多くのファンを獲得します。様々な受賞歴があり、この作品も女流文化賞に輝きました。
そんな素晴らしい原作を、南野陽子が迫真の演技で主人公牡丹を演じ、第16回日本アカデミー賞優秀主演女優賞受賞を受賞することになります。
時代は昭和の初め、土佐の遊郭で芸妓紹介を営む富田岩伍(西田敏行)は、その商売ゆえに子供と家を飛び出し、実家に帰った妻に会い、息子を迎えにきていました。嫌がる息子を庇ったバスの車掌が貞子(南野陽子)であり、のちの牡丹です。
ある日岩伍の元に、あの日出会った車掌の貞子とその父親が身売りの相談にきます。とても美しく、しかもまだ生娘と知った岩伍は、女郎に売るのではなく子方屋『松崎』の経営者よね(かたせ梨乃)に預けて芸妓の修業させることにしました。料亭「陽暉楼」の主人から牡丹という源氏名を与えられた貞子は厳しい稽古に耐え、やがて美しい芸妓として成長していきます。
牡丹の美しさは評判を呼び「陽暉楼」に通う多くの上客の目に止まります。地元の有力者たちが選挙で凌ぎを削り激しく対立する中、牡丹を巡っても激しく争うようになります。二人の上客から身請けの申し出が有り悩む牡丹でした。本当は実の父よりも自分を慈しみ愛してくれる岩伍に恋心を抱いていたのですが、叶わぬ恋と知って悲しい思いを抑え、どちらの身請けを受ければいいか相談し、話は進んでいきます。そんな中牡丹の美しさに狂った男がまた一人、見習いヤクザの仁王山(高嶋政宏)です。
彼は牡丹の身請け先が決まったことに怒り狂い、身請け元から牡丹を奪い去ります。そして海沿いの小屋に牡丹を匿い、そこで共同生活を始めます。牡丹は荒々しくも一途な仁王山の愛を次第に受け入れるようになります。
しかし潜伏先を見つけられ、牡丹は連れ返されてしまいます。諦めきれない仁王山は、よねがいる松崎家へ押し込み暴力沙汰を起こしてしまいました。そして警察に捕まってしまいます。この仁王山の事件から牡丹の運命が大きく動き出します。男たちに運命を翻弄された悲しくも儚い色町の女の人生を芸術性豊かに描きあげています。
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この映画は、スーパーアイドルの南野陽子が女優人生の転機を迎えた映画だと言われます。いわゆる濡れ場があるということで、大きな話題を呼びました。
そのことよりも自分的には、事務所の移転問題を契機にアイドル生命を脅かす中傷に立ち向かうことや、前の事務所の社長が大きな借金を南野陽子名義で作って倒産してしまった返済を何もいわずに黙って返すことを決意した最初の作品であったことが一番大きなトピックスだと思いました。
「アイドルや女優は夢を売る仕事だから、借金などのトラブルを表に出してはいけないという一心で歯を食いしばって頑張ってきた」と後にご本人が語られたということです。自分を支えてくれるファンのために並々ならぬ思いをこの作品に捧げてたんだと思いました。改めて南野陽子という女優の物凄さを知らされました。
南野陽子でなければこの作品は成り立たなかったと言われるほど、役に入り込み、見るものを取り込んでしまう演技力の高さが更なる話題を呼んだんだと思います。
第16回日本アカデミー賞優秀主演女優賞受賞を受賞した南野陽子!ついこの間までアイドルとして活躍していた彼女が、本格的な女優に大きく飛躍した姿がそこにありました。
可愛らしい学生の姿から、清楚な社会人そして、色町の女、不治の病に苦しむ主婦などいろんな南野陽子をみることができます。ファンであればなおさらですが、ファンでなくてもその成長ぶりと役ににぞむすざましい決意で、見る人に心を揺さぶられます。最後に南野陽子の作品一覧を紹介します。アイドル時代から多くの作品に主人公として、出演してきた南野陽子です。ここでは、このサイトで紹介している、作品を記載します。
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