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追悼!大林宣彦監督
2020年4月10日の午後7時23分、大林宣彦監督が82年の生涯に幕を下ろしました。その人生と多くの作品に感謝するとともに、ご冥福を心よりお祈りいたします。
この映画の原作は同名の「天国に一番近い島」という旅行記です。作者は「森村桂」1966年に出版されています。森村桂は、女性週刊紙の記者を経て、1964年にニューカレドニアに一人旅に出ます。当時は、海外旅行は気軽にいけるものでもない時代でしたが、亡き父が残した言葉を胸に単身ニューカレドニアに向かったのでした。
その言葉が「花が咲き乱れ果実がたわわに実る夢の島、神様にいつでも逢える島。働かなくてもいいし、猛獣や虫もいない…そんな天国にいちばん近い島が地球の遥か南にあるという」というもの、結局そこがどこなのかわからずじまいで、父は亡くなってしまいます。それがどこか一生懸命考えた結果、出した結論が「ニューカレドニア」でした。
強い意志と類い稀なる行動力で、ニューカレドニアに行くことができた筆者でした。そこでの体験をまとめたのがエッセイ「天国に一番近い島」です。この書籍が2000万部を超える大ヒットとなり、1968年のNHK朝の連続テレビ小説「明日こそ」としてドラマ化されました。
天国に一番近い島といわれるニューカレドニア諸島
出典:ヒラリーのエンタメブログ
原田知世の主演映画第3作目です。1984年に公開されたこの映画は、同時上映が薬師丸ひろ子主演の「Wの悲劇」でした。80年代はまさに角川映画の黄金期といえるだろうと思います。配給収入は15億5千万円にとなり、原田知世が歌う主題歌「天国に一番近い島」はオリコンチャートで週間で1位を記録するなど爆発的なヒットとなりました。ちなみに監督は、「時をかける少女」と同様大林宣彦でした。
女子高生「桂木万理」無口でおとなしい性格の女の子、急死した父・次郎の葬儀を済ませ、車中で亡くなった父に対する思いに耽っていました。父の言葉にあまり心を動かさない万理でしたが、唯一心躍らされたことは、時折話してくれる、ニューカレドニアのことでした。万理は葬儀を終わらせたあと、ニューカレドニアに行きたいと母光子(松尾嘉代)に相談するようにになります。光子は驚くも娘の確かな成長をうれしく思い、渡航を認めたのでした。
出典:Blog
そして待ちに待った冬休み、申し込んでおいたツアーに参加して島についた万理がいました。
旅の始まりは「ヌメア」の街、意気揚々と父が遺した言葉を頼りに「天国に一番近い島」その場所を探し始めます。自転車で街の景色を見て回りますがどうもしっくりこない・・そうこうしていているうちに 日系三世の青年タロウ(高柳良一)と出会い言葉を交わしますが、名前も告げずわかれてしまうことになります。気にかけながら街を散策する万理。
さらに中年日本人男性で自称ガイド・深谷有一(峰岸徹)と知り合い、現地のことを教えてもらうことになります。彼女から「天国にいちばん近い島」の話を聞いた深谷は心当たりのある場所(イル・デ・パン島など)を教えてくれ一緒に廻ってくれます。どこも自分の思い描く場所とはちがうことで焦る万理。
そんな時ふと、市場で出会ったタロウのことが気になり、再び話が聞きたくて、太郎を探しに市場に出かけ、何というか出会うことができました。そして今度はタロウに教えられたウベア島へ、一人ででかけていきます。島の人達の歓迎を受けて心もいやされましたが、ここもまた違っています。
この島からすぐに帰らなければいけなかった万理は高熱を出してしまい、ツアーの帰りの飛行機に乗り遅れてしまます。さらにホテルを追い出され、ヨットで一晩明かそうとしているところを警察に保護されるという心細い状態でした。その時身元引受人としてタロウが迎えに来て、万里は次の飛行機が飛ぶまで、タロウの家にいることとなったのです。少しづつ二人の心が近づく中でも、それぞれの事情や思いが交差して切ないすれ違いが、生じてくるもどかしい展開が続きます。
自分に嫌気がさして、ドラム缶風呂で泣き出してしまします。
出典:Blog
残された日々はあと少し、万理とたろうの心の隙間は埋められるのか、また探し求めた天国に市場一番近い島は見つけることができるのか・・
出典:Blog
この映画のロケはほぼすべてニューカレドニアで行われ、日本人にはなじみのなかったニューカレドニアの自然と街並み、歴史、人々とのふれあいを描かれていました。角川映画の営業力と原田知世の人気のおかげで大ヒットしたこの映画。そのため日本から遠く離れたニューカレドニアに日本人も関心を持つこととなり、観光客が激増しました。なんとロケが行われたウベア島には、島内に唯一のリゾートホテル「パラディ・ド・ウベア」ができたほどだったといいます。
ロケが行われたウベア島
私たちの年代の人間が聞くとふ~と昔がよみがえってくる歌がこの時代には多いと思います。この透明感と純真な映画と相まってぐっとくる気持ちがこみあげてくるのは私だけではないはずです。
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