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土曜ワイド劇場の江戸川乱歩美女シリーズ第8弾「悪魔のような美女」をご紹介します。放送は、1979年4月14日です。
原作は江戸川乱歩作の「黒蜥蜴」(くろとかげ)で1934年(昭和9年)月刊誌『日の出』1月号から12月号に連載されました。黒蜥蜴は、作品中で美しい宝石をねらう美人盗賊の俗称です。この作品は文学的にも高い評価があり、数ある乱歩の作品でも映像化や舞台化などの原作とされた回数がトップのレベルにあると思います。しかし、執筆当時の乱歩は執筆活動に行き詰まりを感じていて、作品が思うようにかけないでいた時期だったそうです。乱歩がめざす本格推理小説に対しての大衆の反応はいまいちで、『一寸法師』や『蜘蛛男』などの少し風変わりな怪奇小説、いわゆる通俗的なスリラーに大衆の支持が絶大に集まってしまい、執筆の方向性に大きく悩んでいたとのこです。
そんな悩みの中でうまれたこの作品が、昭和を超えて平成の時代まで、舞台やドラマで再現され、こうして令和の時でも注目を浴びるとは、ご本人も思わなかったことでしょう。
黒蜥蜴の秘密のアジト、囚われた美少年が半裸で吊るされています。その前で黒蜥蜴が語っています。「美しいものを美しいまま保存してコレクションにする」というのです。過去にコレクションにされた美しい男女の標本は、美青年の前で公開されていきます。その狂気的な光景に美少年は半狂乱になるのです。そんな中黒蜥蜴は、「日本一美しい男と女を愛の標本として並べる。お前の相手はすでに決めてある。」と言い放つのです。
世間的には、しばらくなりを潜めていた戦後最大の宝石怪盗黒蜥蜴ですが、ここに来て、宝石商岩瀬(柳生博)のダイヤモンドを盗むという脅迫状を送りつけてきたのです。内容は『5月12日午前12時 あなたの一番大切なものを頂戴します』と記されていました。
脅迫状の到着を知った波越警部は、明智に連絡して、投宿している伊東温泉に向かいます。明智も急いで、現地に向かいました。そこには、岩瀬とその娘早苗がおり、先に到着した浪越警部がいました。さらには、岩瀬が宝石のことに関して相談の乗ってもらっているという、ドイツ帰りの緑川という夫人も一緒でした。
浪越警部の指示のもと、午前12時の犯行時間に備えて鉄壁の警備体制が旅館内に敷かれました。岩瀬は自分の大切なものといえば、秘蔵のエジプトの星こそが、黒蜥蜴のターゲットと理解していました。
そんな中宝石の専門家である緑川夫人が明智と会話することになり、この脅迫文による犯行の成り行きに興味を示していると告げるのです。そして、明智と緑川夫人は、この戦いの結果にかけをすることとなったのです。
もし黒蜥蜴が勝ったら明智が探偵をやめて、緑川夫人の言いなりになること、反対に明智が勝利した場合は。緑川夫人の所有する全財産を明智に渡すというものです。明智は同意してこの賭けがスタートするのです。
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12時が過ぎて、ダイヤモンドは無事でした。一同胸をなでおろしたのですが、寝ているはずの早苗がいなくなっていたのです。
黒蜥蜴の本当の目的が早苗であったことを知って、一転早苗の捜索に捜査の方向が変わりました。やっとのことで、早苗を奪還した明智・浪越警部でした。
早苗役の加山麗子↓
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この勝負は自分の勝ちだと宣言する明智、なぜなら黒蜥蜴は自分の目の前いる、として緑川夫人が黒蜥蜴であると断言するのです。右腕の黒い蜥蜴の刺青を一同に見せつけ、証拠を知らしめる明智、その一瞬のスキをついて緑川は逃走してしまいます。
後日さらなる黒蜥蜴からの挑発の電話が明智事務所にはいり、新たな戦いが始まります。
今回は、女優さん個人ではなく黒蜥蜴という役柄を演じた女優さんたちにピックアップします。
黒蜥蜴は、テレビドラマ7回 映画2回 オペラ3回 戯曲11回 宝塚歌劇 2回 という多方面の芸術分野で、演じられています。当初は、通俗的なスリラー小説として乱歩本人も不本意な思いを持って制作された作品は、後世このように愛されています。
演じた女優はいずれも日本を代表する大女優で、多くの人に愛されています。
ドラマのみを紹介すると以下の通り
放送日 | 放送局 | 黒蜥蜴 | 明智小五郎 |
1970年(昭和45年)4月25日 | テレビ東京 | 野川由美子 | 滝俊介 |
1970年(昭和45年)4月25日 | NHK | 倍賞美津子 | 夏木陽介 |
1979年(昭和54年)4月14日 | テレビ朝日 | 小川真由美 | 天知茂 |
1990年(平成2年)10月24日 | TBS | 島田陽子 | 小野寺昭 |
1993年(平成5年)1月25日 | TBS | 岩下志麻 | 伊武雅刀 |
2004年(平成16年)2月2日 | 日本テレビ | 松坂慶子 | 藤井隆 |
2015年(平成27年)12月22日 | フジテレビ | 真矢ミキ | 渡部篤郎 |
なお初代黒蜥蜴は、戯曲にて演じた水谷八重子、そして脚本は三島由紀夫というなにか歴史を感じる作品です。(当然自分はみていませんが・・)更にはあの美輪明宏も登場するという重厚な作品となっています。
岩下志麻版の黒蜥蜴のビデオ↓
松阪慶子版の黒蜥蜴テレフォンカード↓(すごい綺麗!!)
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